ほぼ数学科の大学生の備忘録。

数学/物理の話をしていく…つもりだった……

大学数学

行列式とトレース

お久しぶりです。気づけば1年近く放置しておりました。今回は2次形式とトレースの関係式というものを紹介したいと思います。ただし、 は正方行列、は適当な大きさのベクトルです。証明は簡単で、 としたときに、 であり、 のtraceをとれば となることが示せ…

ベルンシュタインの定理(2)

今回は、ベルンシュタインの定理を証明します。まず、 かつ であるとします。濃度の大小関係の定義からからへの単射 とからへの単射 が存在します。ここで、写像 として を考えます。この元で、の部分集合の列 を、以下のように考えます。こうすると、この列…

ベルンシュタインの定理(1)

前回が集合論の加算無限非加算無限の話でしたが、今回は集合の濃度に関する定理、ベルンシュタインの定理の紹介とその説明をします。集合の濃度とは、直感的には集合の要素の個数、もしくは大きさです。但し濃度は有限集合に限らず無限集合に対しても定義さ…

非加算無限集合

前回、加算非加算無限 - ほぼ数学科の大学生の備忘録。この記事の最後で実数全体の集合は非加算無限集合であるという話をしました。 今回は、対角線論法を用いたその証明をしたいと思います。まず、区間からには全単射が存在します。例えば、 とすれば、gは…

加算非加算無限

無限には二種類あるということを知っていますか?聞いたことがある人も多いと思いますが、無限は自然数の無限である加算無限と、実数の無限である非加算無限があります。 無限集合のうち、自然数全体の集合から全単射が存在する集合を加算無限集合といいます…

Legendre多項式関連の式

Legendre多項式についての次の式の証明がネットで調べても見つからなかったので紹介しておきます。 まず、n=1,2については、 \[ P_0(x)=1,\ P_1(x)=x,\ P_2(x)=\cfrac{3x^2-1}{2}\]などから直接示すことができます(cosの加法定理を用います)。 次に、n=k,k-1…

行列のおはなし。

今回は、正方行列(行と列の大きさが等しい行列)についてのみ考えます。 に対しては、 が成り立ちます。 しかし、一般の行列A,Bについては、同様の定理は成り立ちません。 (代数学の言葉で言えば、このような定理が成り立つものを「整域(integral domain)…

束の分配不等式の証明

束の分配不等式の証明が少し調べたところ見つかりにくかった(というより日本語では見つけられなかった)ので、書いておこうと思います。 そもそも、束の分配不等式とは何かというと、任意の束の任意の元A,B,Cについて、 が成り立つ、というものである。これ…