ほぼ数学科の大学生の備忘録。

数学/物理の話をしていく…つもりだった……

行列のおはなし。

今回は、正方行列(行と列の大きさが等しい行列)についてのみ考えます。

a,b\in \mathbb{R}に対しては、 ab=0 \Rightarrow a=0\ or\ b =0 が成り立ちます。

しかし、一般の行列A,Bについては、同様の定理は成り立ちません。

代数学の言葉で言えば、このような定理が成り立つものを「整域(integral domain)」といいます。正方行列は整域でない環の例として有名です)

これは、全ての行列に対して逆行列が存在するわけではないことが原因となっています。

まずは、逆行列を定義します。

正方行列Aに対して逆行列A^{-1}とは、
AA^{-1}=A^{-1}A=I
が成り立つような行列のことです。
ただし、Iは単位行列です。

逆行列は全ての行列に存在するわけではなく、逆に逆行列を持つ行列のことを正則行列といいます。

行列が正則になる条件(必要十分条件)はいくつかありますが、特に重要なのは以下の二つです。

Aが正則
\Leftrightarrow det(A) \neq 0
\Leftrightarrow Aの各行ベクトルが線形独立