ほぼ数学科の大学生の備忘録。

数学/物理の話をしていく…つもりだった……

加算非加算無限

無限には二種類あるということを知っていますか?

聞いたことがある人も多いと思いますが、無限は自然数の無限である加算無限と、実数の無限である非加算無限があります。


無限集合のうち、自然数全体の集合 \mathbb{N}から全単射が存在する集合を加算無限集合といいます。逆に、\mathbb{N}からの全単射が存在しない集合を非加算無限集合といいます。
全単射が存在するということは、その集合の要素に一対一対応が存在するということなので、イメージとしては集合の要素の「数」が同じ、ということです。

感覚として分かる人も多いかと思いますが、例えば自然数のうち偶数だけを取ってきた集合(ここでは\mathbb{N}_{even}と書きます)や、整数全体の集合\mathbb{Z}は加算無限集合です。
\mathbb{N}から\mathbb{N}_{even}への全単射fは、例えば
\displaystyle f(n)=2n
とすることで得られ、\mathbb{N}から\mathbb{Z}への全単射gは、例えば
\displaystyle g(n)=\begin{cases}
\cfrac{n-1}{2}\ (nが奇数) \\
\cfrac{n}{2}\ (nが偶数)
\end{cases}
とすることで得られます。

また、非加算無限集合の代表例は、実数全体の集合\mathbb{R}です。
\mathbb{N}\mathbb{R}の間に全単射が存在しないことを示すには、対角線論法という論法を使うのですが、これの説明は次回に回したいと思います。